緊張感のあるシーンの演出がすごくうまい。 情報が分かりやすく整理されていた。

個性的な表現法が目を引いた挑戦的な作品に感じた。「水」と「手をつなぐ」表現をいろんな表情で見せてくれるのも面白かった。ラストの1枚絵も美しい。「こころを離さないように」看護師さんの切なる思い、プロとしてのプライド、この場、この瞬間の緊張感、すべてが伝わり秀逸でした。

医療漫画は「説明部分」と「ストーリーを進める部分」と「感情を描く部分」などいろんな要素で構成されていきます。ばつ先生は少しずつ描き方を変えたり抑揚をつけて表現し、最後のクライマックスに持っていく手腕が素晴らしかったです。

看護師としてのあるべき姿、緩和ケアに関する啓発とストーリー性のバランスがとても良いと感じました。啓発面を強調すると説明的になりがちですが、このマンガでは、がんの看護を専門とする看護師の仕事と患者さんとの関わりが分かりやすく伝わってきました。

これからのがん医療において重要な役割を果たしていくがん看護専門看護師とはどういう仕事なのか、どのようなシーンでどのような気持ちで患者さんに臨んでいるのかがよく分かるものでした。本作品が入賞となりました。

看護師が、患者さんの娘に対する想いを知り、気持ちを受け止めるコミュニケーションを経たことで、患者さんが緩和ケアへの理解を深めていく部分は、まさに医療の視点を描いていると思いました。

看護師視点で、がん治療の中での緩和医療を勧める気持ちの変化がよく描かれています。最後のシーンは印象的です。