第2回医療マンガ大賞開催決定

コミュニケーションの難しさ (患者視点エピソード)

 最近、父がよく、「飲んではいけない薬」とか「危ない検査」といった週刊誌の記事を熟読しているのには気付いていました。しかし、まさかこんなことになるとは……。  ある日の晩、父は「かぜを引いた」と言って早めに床についたのですが、翌朝、父はすごい熱で意識ももうろうとしており、慌てて救急車を呼びました。救急病院の先生によると、かぜをひいたのがきっかけで、血糖値がものすごく高くなり、そのせいで意識がもうろうとしていたんだそうです。  治療により意識は回復し、病院の先生の強い勧めもあり、長年にわたって、父が糖尿病の治療を受けているクリニックを受診することになりました。しかし、なぜか父はクリニックに行くことを嫌がり、長い時間をかけて父を説得しなければなりませんでした。  救急病院の先生からの紹介状を渡すと、クリニックの先生はとても驚いていました。先生に促されて、父がしぶしぶ話したところによると、3カ月ほど前、父が飲んでいる薬が、週刊誌に「高齢者に危ない薬」「高齢者は飲んではいけない」と書いてあったんだそうです。不安になって、先生に相談したのだけれど、「そんなのはイイカゲンな情報だから信じないでください。今の薬をそのまま飲んでいれば大丈夫です」と取り合ってもらえず、対応に不満を感じたそうです。  家に帰って、もう一度週刊誌を読んでみたら、やっぱり不安になって、勝手に自分の判断で、これまで飲んでいた糖尿病の薬を全部やめてしまいました。その後も、特に体調不良はなかったので、それ以降、一切薬は飲まず、クリニックに受診もしていなかったそうです。  クリニックの先生は、その場で、なぜ父はその薬を飲み続けても大丈夫なのか、なぜ飲み続けなければならないのかを丁寧に説明してくれました。その上で、リスクのある薬を別の安全な薬に変更してくれ、「あのとき、きちんと相談にのってあげられなくて申し訳ありませんでした」と謝ってくれました。父も、あたかも先生の治療を信用していないような言い回しだった上に、勝手に通院を断ったことを最終的には詫びていました。  それ以来、父は、きちんと通院して、薬も飲むようになりました。ときに薬を飲み忘れたり、治療に不安を感じたときも、先生に逐一報告してアドバイスをもらっているようです。「この前先生と趣味の話で盛り上がっちゃってさ——」なんて、機嫌よく話す父の姿を見てると、私もホッとした気持ちになります。 原作:日経メディカルonlineより構成

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